こぐれみわぞうのプチ日記

震災から１０年経った神戸に行ってきました。

３日間、あまりにも濃密で充実した奇跡のような時間でした。
１分１秒刻みですべてのできごとを知らせたいくらいに素晴らしかった！

忘れないうちにここに刻みます。

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と思ってたら、不在の間にシカラムータ・ストアにＣＤの注文がだいぶ来ていたとのことで、急遽在庫のチェック。
ご連絡遅くなってしまった方、お待たせしてすみませんでした！

朝起きてみると外はやわらかな雨、今日は一日お天気が悪いのかと思っていたら、急に明るい日差しが差し込んできたが、それでも尚、雨はやわらかく降り続け、結局そんなお天気雨がお昼過ぎまで続いた。

イタリアンのランチを食べてから明石へ。神戸商船大学の大学院生だった浦中邦彰さんのお母さんに会いに行く。浦中さんは３年前の３月、あまりにもひどい形でその後の人生を奪われたのですが、そのお友だちがシカラムータの熱心なリスナーさんでいらっしゃり、浦中さんにもシカラムータを勧めてくださったとのこと、浦中さんも気に入ってくださっていたそうで、そうしたお話を伺ってから生まれた曲が「ゴースト・レクイエム」で、それ以来、一度御仏前にごあいさつに伺いたいと思っていたところ、今日やっとお会いできる機会に恵まれた。
初めてお目にかかったお母さんは、お体の悪さなど感じさせないほど実にパワフルで、毅然としたその佇まいは、母ゆえの大きくて温かな愛情に満たされていた。裁判で闘うというのは、想像を絶するほど大変なことのはずだ。しかも兵庫県警が相手なのだから、とてつもなく苛酷な闘いだ。それでもお母さんは気力をいっぱいに漲らせて凛としている。浦中さんへの深い愛情が、その心と体をしっかりと支えているのだろう。
高層住宅の階上から事件現場を指し示してくれたが、そこからほんの目と鼻の先に交番があり、しかも浦中さんは自らその交番に出向いて通報していたそうだ。交番から警察官が走ってくれば３０秒ほどで事件現場に着く、そのくらいの近さだった。警察は非常事態に守ってくれるものではないのか。こんなに近い場所に交番があるというのに。もしかしたら交番にいたのは、警察官の服装をしただけの普通の人だったのかもしれない。そんなことを思えるような信じられない事実を、お母さんはひとつずつ丁寧に教えてくれた。
なんとも歯がゆく悔しい思いの一方で、高層階からの見晴らしはとても素晴らしく、浦中さんが生前見ていたであろう風景を、大熊さんは丁寧に写真におさめていた。いずれどこかのライヴ会場で会えたかもしれない浦中さんと、一度も言葉を交わすことができなかったことが実に悔やまれる。卑劣な事件が奪ったものはあまりにも大きくて尊い。

その後、神戸市役所前へ。震災から毎年やっているイベントで、おーまきちまきさんや趙博さんのステージに大熊さんも参加、モノノケは諸事情で出演できなかったのが残念。夕方になるにつれて寒さも厳しくなるなか、ステージ前でずっと見てくれるお客さんもずいぶんいた。ウキウキするリズムの曲になると、上着を脱いで躍り出てくるおじいちゃまが、更に会場を盛り上げていた。
市役所の２階では震災の写真も展示しており、報道されない側面が数多くとらえられていて、一枚一枚食い入るように見てしまった。

打ち上げに少しだけ顔を出して、ほどなく梅田へ。ソウルフラワーの河村くんと、桃梨のJIGENくん、みほちゃんと共に車で帰京。往きは二日酔いで断念した分、車中ではみほちゃんとずいぶんおしゃべりしてもらった。久しぶりの河村氏のトークもおかしくて、８割方笑いながらの帰路だった。桃梨、ホントに最高！音楽も、人としても素晴らしい！

そんな感動のなか、気づいたら河村くんが全行程運転してくれていた。いやー、申し訳ないっす。
河村くんは本当に働き者で、こうした機材車の運転をはじめ、ステージのセッティング、舞台監督のような仕事、こまごまとしたマネジメント的な雑務などをやったうえで、本業の演奏をしているのだ。そして演奏後は楽器や機材を片付けて、搬出もする。ああ、ごめんなさい。少しでも手伝えばよかった。裏方仕事をしながらステージにも立つことは本当に大変、というか、かなり無理のあることなので、それをきっちりこなしている河村くんを、私は全面的に尊敬しています！L・O・V・E・H・I・R・O・S・H・I・ラーヴ・ヒ・ロ・シ！長っ。

今回は、きょうのこのイベントのために神戸にやってきた。
震災から明日で１０年を迎えるにあたり、長田神社で「つづら折りの宴」というイベントが行われる。９年前の１９９６年には、１万数千人もの人々が集った伝説的なお祭り。大熊さんとわたしは９年前には来られなかったのだが、それ以降は幾度となくモノノケサミットで被災地におじゃまさせてもらった。週一ペースで関西に行き、時には日帰りで訪れたこともたびたびあった。そんなわけで震災をきっかけにたくさんのご縁に恵まれたのですが、そんなご縁が今日、この長田神社に一気に集結してきたかのような時間になった。

長田に向かう途中の電車の中で、さっそく偶然にもモノノケのメンバー、中西ちゃんに遭遇。彼女とは２年くらい前までモノノケで並んでいっしょにチンドンを叩き、海外ツアーにも行ったりして、ずいぶんと楽しくつきあってもらったのに、最近はご無沙汰していたため、久々に顔を見るや嬉しくて、興奮度計もピークを振り切ってしまった。
その後、長田神社の参道を歩き、お鳥居様をくぐると、境内には実に懐かしい顔ぶれが勢揃い！次々に久しぶりの再会を果たして、まるで同窓会。元気にあいさつを交わせることが、特にこの場所ではありがたいことに感じられる。

ちんどん通信社の街練りがあるとのことで、慌ててまた出て行くと、通信社の三大スター、林さんのチンドン太鼓に小林さんのクラ、川口さんのバンジョーがスタンバイ、その横には大熊さんと、更になんとサックスの多田さんまでも控えていて、オールスターちんどん隊にこれまた興奮。ちんどんに精通しているＫさんと、
「このメンツはすごすぎる！」
と盛り上がりながら、街練りの後ろにぴったりくっついて歩き、極上ちんどんを楽しませてもらった。

再会に再会を重ねるなか、以前、ソウルフラワーでドラムを叩いていた高木太郎氏と、とびっきり懐かしい再会を果たした。まったく変わってなくてびっくりしたけど、元気そうなのが何よりうれしい。
太郎くんのゴロスに河村くんのベース、中西ちゃんとわたしのチンドンで練習しているうちに、昔味わった懐かしい雰囲気もよみがえってきた。チンドンを始めた頃は本当にヘタっぴで、みんなにはずいぶんと迷惑をかけていた。リズムには人一倍どころか十倍くらい厳しい中川氏にビシビシ鍛えてもらったおかげでなんとかなったようなものでしたが、そんななか太郎くんはいつも温かく見守って励ましてくれ、河村氏は適切なアドバイスをくれながら楽しい気持ちにさせてくれた。本当に懐かしい思い出だ。モノノケで生まれてモノノケで育ったようなものですが、今では自分から「上手くなったでしょ」と押し付けるほど図太く成長してしまいました（笑）。

９年前にもつづら折りに出演したゆかりの人たちに加えて、この１０年でご縁のできた出演者も登場、なかでも「桃梨」というヴォーカル＆ベースのデュオが実に素晴らしかった。気持ちいいほど清々しい、彼らの人となりが素直に演奏に表れていて、見事なステージだった。近いうちに皆さんにもご紹介します！必見、必聴！

モノノケは最後の出演、「聞け万国〜」から「アリラン」など懐かしい曲揃いのなか、「満月の夕」ではたくさんの魂もひとつに集まってきたのを感じた。わたしでさえ、何かを思うとどうにもこうにも演奏できなくなりそうだったので演奏だけに集中するよう努めたが、震災直後から歌い続けてきたメンバーたちは、もうそれどころではなかっただろうに、見事に「満月〜」を歌い上げていた。本当に素晴らしい歌だった。そこにみんなの音も一点に集まって、温かくて、人を支えて元気づける力をもった歌になっていた。ステージを降りる際、会場内でずっと探していた「すたあと長田」の金田真須美さんの笑顔に会えたのは、わたしにとって最高のタイミングだった。

つづら折り終了後、ステージ袖になんと酒井俊さんがいらしていた。俊さんは「満月の夕」をカバーしてくれているのだ。昨年末初めてお目にかかった際は、大人の女性だからこそ着こなせるような素敵な和服姿だったのですが、今日の洋服姿も実に素敵な大人の女性という印象だった。それにしても今日、この場所でまたお会いできてとても嬉しかった。
更に、打上げに移動する寸前、携帯にメールと着信が入っていたことに気づいた。なんと、２年くらい前にたった一回、栗コーダーの神戸でのライヴの打ち上げで会ったことのある女性が、わざわざ観に来てくれていたのだ。彼女とは最近、mixiのおかげで偶然連絡が取れるようになったのですが、前回、その打上げの翌日に、神戸から名古屋へ移動する際、新幹線移動直前の栗コーダーばかりか私にまで、おいしいケーキを差し入れしにわざわざ駆けつけてくれて、２年くらいそのお礼を言えずじまいだったため、やっとお礼が言えたうえ、メールでいろんな話をさせてもらったりして、会えたらいいなあ、と思っていたのでした。で、会えなさそうなので今から帰ります、というメールからまだ時間が経っていなかったので、急遽電話して、なんとか再会、まったくかわらずかわいくてウキウキしてしまったー（笑）。神戸に住んでいるとはいえ、わざわざ出かけてきてくれただけでも嬉しいのに、スウィーツ好きなわたしにお菓子のおみやげさんまで持ってきてくれた。最後の最後まで長田神社は素敵なご縁を結んでくれた。

打ち上げでは１２０％気持ちよい気分になり、気がついたらワインを相当飲んでいたらしい。眠くてたまらないのに脳のどこかははっきりと覚醒していて、打ち上げでの関島さんはきっとこんな感じでいつもウトウトしてるんだろうなあ、と客観的に捉えてみたり、こんなに飲まなきゃよかったと反省してみたり、気づいたらトイレの個室のドアノブを握って立ったまま寝ていたりしたものの、その後、不思議とまったく悪酔いはせず、いろんな人たちと久々に会話を交わすうちに再び全面的に覚醒、帰る頃にはすっきりまでして、実にいいお酒を頂いた。

１０年前、たくさんの命と幸せと希望を奪われた場所で、今日こうして元気に生きている、生かされていることに感謝できる機会を与えてもらったとは、なんとも言葉にすることができない。被災地を訪れるたびにいつも、何かかけがえのないものをもらってばかりだ。
あらためて、出会えたすべての皆さんやご縁や思いに感謝しています。いつも、いっぱい、いろいろと、本当にありがとう。そして、わたしからはささやかながら、皆さんにたくさんの幸せが訪れることを、心の底からお祈りしています。

これだけ書いてもまだまだ書ききれていない素晴らしいできごとの連続でした。
明日は震災の日、たくさんの思いと祈りが神戸を包む日になります。

●つけたし●
終演後、昔、スタッフとしてお手伝いをしてくれていたしのちゃんに再会、ご無沙汰していた間、人生において特筆すべきことがあったとのこと、でも温かい素敵な笑顔は変わらなくて、元気そうでとても嬉しかった。しのちゃん、メール待ってるよ！（しのちゃんメールありがとう！）
あと、おみやげさんのお菓子がむちゃくちゃおいしくて感動！かわいいピンクのハート型メレンゲなんか、いちごの風味満点！マキちゃん、ごちそうさまでした！

ソウルフラワーのベーシスト河村氏が、朝９時に機材車で迎えにきてくれたので、楽器類を積んで乗車。同乗の「桃梨」の二人をピックアップしに吉祥寺、荻窪へと行くうちに、二日酔いが車酔いを誘発してしまった。くー。おそらくそのまま乗って行けば、深刻な緊張状態キープのなかストーップ・ライト・ナーウ頻発と思われたので、荻窪で桃梨のみほちゃんと入れ替わりに降りて、快適な新幹線ルートへ切り替え。ところが、大熊さんが事務所に財布を置き忘れてきたばかりか、わたしのチンドン太鼓も積み忘れていたため、事務所へ引き返して再出発することができて、結局は素晴らしい選択をしたことになった。いい二日酔いをした。

新幹線でひと足もふた足も早く神戸に着き、大熊さんの到着をショッピングしながら待つ予定が、気がついたらホテルで爆睡。今夜はビッグアップルの「ふちがみとふなと」を観に行こうと思っていたので、慌ててトアロードを上っていくが、行きつけの洋食屋さんに後ろ髪を引かれてビフカツ堪能。お店のご家族もお夕飯どきだったようで、年頃の娘さんとシェフであるお父さんがほのぼのとした会話をしていた。きっと幸せな家庭から幸せな味が生まれてるんだ。

新年最初のライヴが「ふちがみとふなと」とはなんとも贅沢！もう、このライヴのためだけでも神戸に来てよかった。なんて素晴らしい歌い手さんとベーシストさんなんだろう。飛び入りさせてもらった大熊さんも生き生きしちゃって、おかげで今年も間違いなくいい年になるはず。（ふちがみ）純ちゃんとビッケさんの「ＪＢ」も楽しみでたまらーん！

マスターの近藤さんもあいかわらずいい按配に泣き笑い続けて、お夜食に近藤さんいわく「変なラーメン屋」に連れて行ってもらい、「いつもの神戸の夜」は更けていった。

シカラムータ関連の新年会＠やっぱ抱瓶でしょ。
翌朝、車で神戸に移動しなければならないというのに、気がついたらかなり飲みすぎて、水を飲むにも口の前でこぼし続ける始末でした（←大熊さん談）。
来月パパになるというF氏がこどもの名前に困っていたので、みんなで無責任に候補をあげまくっていたのは覚えてるなあ。