こぐれみわぞうのプチ日記:2005-06-14
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2005/06/14(tue)
オーブンミトン
ウチの事務所から本気でダッシュかけたら5秒で着くだろうというほど激近の場所に、世界で一番おいしいケーキ屋さんがあった。
もはや「あった」と書かなければいけないのが実に残念ながら、今や全国区で知られるようになったパティシエの小嶋ルミさんのお店「
オーブンミトン
」は20年近くこの町でケーキを作り、14日を最後に閉店してしまった。
オーブンミトンを最初に見つけたのは大熊さんだった。10年近く前のことですが、当時のお店は今とは違う場所にあり、ウチの事務所もまだ別の場所の頃で、確か看板には「ケーキ工房 オーブンミトン」と書いてあったように記憶している。手作り感あふれる素朴な雰囲気にはまるで鈍感だった私は、当時のお店の飾り気のない様子にほとんど興味を示さなかったのですが、
「あそこのケーキはまちがいなくおいしいと思う」
と常々大熊さんが言っていたので、あるとき通りかかったついでに買ってみたのが初めての出会い、まさに目からうろこが落ちるかのような衝撃的なおいしさを味わってしまったのだ!
「だってまちがいないと思ったんだもん」
と半ば得意そうな大熊さんに、諸手をあげて降参、もっと早くに買いに行けばよかったと、ひと口食べた瞬間から悔やんだ。
その後まもなく、当時のお店から徒歩10秒ほどの場所に新店舗がオープン、今から思えばそれを追いかけるかのようにウチの事務所も移転、以来今日までの数年間、猛ダッシュで5秒の場所に、世界で一番おいしいケーキ屋さんがあったわけだ。
ここのケーキはどれも究極なくらいにおいしい。使っている素材はどれも厳選したものばかりで、シンプルでも質の良い材料のみで作っているうえ、甘味のバランスが絶妙、各素材を知り尽くしてそれぞれの良さを最大限に引き出し、最高の素材で最高のハーモニーを奏でるかのような、もはや芸術作品といえるケーキだけが、いつもショーケースに並んでいた。
そして、どれをとっても「世界一おいしい」と言えるなか、更に抜きん出ていたのがシュークリームだった。
そのシュークリームがあんまりおいしいので、あるとき、お店に出ていたパティシエの小嶋ルミさんに、
「今まで出会ったシュークリームのなかでダントツにおいしいです!」
と興奮して伝えた。すると、遠慮がちにお礼を言いながら、
「毎回気合いを入れて作ってるんです」
と答えてくれた。そのときの目の強さ、美しさは、あとにも先にも見たことがない。この人だからこれだけ見事なケーキを作れたのだ、と実感した。ケーキの神様だったのだ。
そのうち、そのケーキのおいしさを万人が放っておくはずがなく、小嶋さんはますます多忙になっていったようだった。いろいろなメディアで姿を見られるようになったなか、とある雑誌で、
「最高においしいモンブランを作りたい」
と言っていたのを偶然見つけた。それまでは、どんなに評判のモンブランでもあまりおいしいとは思ったことがなかった私は、それからしばらくの間、お店の前を通る度にショーケースの中に釘付けだった。
そしてついにモンブランが登場、満を持して買いに行った私を、十二分に受け止めてくれる、やはり最高のモンブランだった。そりゃそうだ。小嶋さんこそ、満を持してショーケースに並べたんだものね。
更に驚くことに、今思えば、どんなに忙しくなっていっても、どんなにお店が賑わうようになっていっても、ケーキのクオリティは高いままどころか、更においしさを極めていった。
先月、6/14に閉店と聞き、最後にまた小嶋さんに、残念な思いと今までの感謝を伝えた。するとまたいつものように遠慮がちにお礼を言ってくださったのだが、今回は強さと美しさをたたえたその目に、ただならぬ疲れを見てしまった。あれほどの素晴らしいケーキを20年近く、ほぼ毎日のようにかなりの数を作り続けてきたことは、奇跡だったのかもしれない。そう思うと、オーブンミトンのケーキに出会えたこと、日常生活で世界一のケーキをあまりにも気楽に味わえたこと、そして最高のものを作り続ける姿勢を間近で感じられたことこそ、奇跡のように贅沢でラッキーなことだったのだと、嬉しい思いで胸がいっぱいになった。そしてあまりにも興奮しすぎたせいか、小嶋さんと話している最中、生まれて初めて喉の近くが
「ぶひっ!」
と鳴り、一瞬店内に静寂をもたらしてしまった(笑)。
閉店の今日のために、シュークリームのデラックス版「パリブレスト」を予約して、実家で味わった。本当は初めて見つけてきてくれた大熊さんに食べさせてあげたかったのですが、安心して下さい、大熊さんの分も食べておきました!、というのは冗談で、本当にご安心を!なぜならケーキの神様による世界一のケーキは、今後、併設のレストランのデザートとしてか、予約さえすればホールで味わえるとのこと、定期的な頒布も始まるそうです!
オーブンミトン、小嶋さん、スタッフの方々、皆さんのおかげで最高においしいケーキを味わえました!長い間おいしい思いをさせていただきありがとうございました!本当におつかれさまでした!
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2005/06/15(wed) 01:51
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もはや「あった」と書かなければいけないのが実に残念ながら、今や全国区で知られるようになったパティシエの小嶋ルミさんのお店「オーブンミトン 」は20年近くこの町でケーキを作り、14日を最後に閉店してしまった。
オーブンミトンを最初に見つけたのは大熊さんだった。10年近く前のことですが、当時のお店は今とは違う場所にあり、ウチの事務所もまだ別の場所の頃で、確か看板には「ケーキ工房 オーブンミトン」と書いてあったように記憶している。手作り感あふれる素朴な雰囲気にはまるで鈍感だった私は、当時のお店の飾り気のない様子にほとんど興味を示さなかったのですが、
「あそこのケーキはまちがいなくおいしいと思う」
と常々大熊さんが言っていたので、あるとき通りかかったついでに買ってみたのが初めての出会い、まさに目からうろこが落ちるかのような衝撃的なおいしさを味わってしまったのだ!
「だってまちがいないと思ったんだもん」
と半ば得意そうな大熊さんに、諸手をあげて降参、もっと早くに買いに行けばよかったと、ひと口食べた瞬間から悔やんだ。
その後まもなく、当時のお店から徒歩10秒ほどの場所に新店舗がオープン、今から思えばそれを追いかけるかのようにウチの事務所も移転、以来今日までの数年間、猛ダッシュで5秒の場所に、世界で一番おいしいケーキ屋さんがあったわけだ。
ここのケーキはどれも究極なくらいにおいしい。使っている素材はどれも厳選したものばかりで、シンプルでも質の良い材料のみで作っているうえ、甘味のバランスが絶妙、各素材を知り尽くしてそれぞれの良さを最大限に引き出し、最高の素材で最高のハーモニーを奏でるかのような、もはや芸術作品といえるケーキだけが、いつもショーケースに並んでいた。
そして、どれをとっても「世界一おいしい」と言えるなか、更に抜きん出ていたのがシュークリームだった。
そのシュークリームがあんまりおいしいので、あるとき、お店に出ていたパティシエの小嶋ルミさんに、
「今まで出会ったシュークリームのなかでダントツにおいしいです!」
と興奮して伝えた。すると、遠慮がちにお礼を言いながら、
「毎回気合いを入れて作ってるんです」
と答えてくれた。そのときの目の強さ、美しさは、あとにも先にも見たことがない。この人だからこれだけ見事なケーキを作れたのだ、と実感した。ケーキの神様だったのだ。
そのうち、そのケーキのおいしさを万人が放っておくはずがなく、小嶋さんはますます多忙になっていったようだった。いろいろなメディアで姿を見られるようになったなか、とある雑誌で、
「最高においしいモンブランを作りたい」
と言っていたのを偶然見つけた。それまでは、どんなに評判のモンブランでもあまりおいしいとは思ったことがなかった私は、それからしばらくの間、お店の前を通る度にショーケースの中に釘付けだった。
そしてついにモンブランが登場、満を持して買いに行った私を、十二分に受け止めてくれる、やはり最高のモンブランだった。そりゃそうだ。小嶋さんこそ、満を持してショーケースに並べたんだものね。
更に驚くことに、今思えば、どんなに忙しくなっていっても、どんなにお店が賑わうようになっていっても、ケーキのクオリティは高いままどころか、更においしさを極めていった。
先月、6/14に閉店と聞き、最後にまた小嶋さんに、残念な思いと今までの感謝を伝えた。するとまたいつものように遠慮がちにお礼を言ってくださったのだが、今回は強さと美しさをたたえたその目に、ただならぬ疲れを見てしまった。あれほどの素晴らしいケーキを20年近く、ほぼ毎日のようにかなりの数を作り続けてきたことは、奇跡だったのかもしれない。そう思うと、オーブンミトンのケーキに出会えたこと、日常生活で世界一のケーキをあまりにも気楽に味わえたこと、そして最高のものを作り続ける姿勢を間近で感じられたことこそ、奇跡のように贅沢でラッキーなことだったのだと、嬉しい思いで胸がいっぱいになった。そしてあまりにも興奮しすぎたせいか、小嶋さんと話している最中、生まれて初めて喉の近くが
「ぶひっ!」
と鳴り、一瞬店内に静寂をもたらしてしまった(笑)。
閉店の今日のために、シュークリームのデラックス版「パリブレスト」を予約して、実家で味わった。本当は初めて見つけてきてくれた大熊さんに食べさせてあげたかったのですが、安心して下さい、大熊さんの分も食べておきました!、というのは冗談で、本当にご安心を!なぜならケーキの神様による世界一のケーキは、今後、併設のレストランのデザートとしてか、予約さえすればホールで味わえるとのこと、定期的な頒布も始まるそうです!
オーブンミトン、小嶋さん、スタッフの方々、皆さんのおかげで最高においしいケーキを味わえました!長い間おいしい思いをさせていただきありがとうございました!本当におつかれさまでした!