こぐれみわぞうのプチ日記:2008-03-13


2008/03/13(thu)圏央道建設から高尾山を守ろうと思うその理由

緑を守ろう、環境破壊を止めようと、世界がひとつになって、必死で取り組みゆく今、
奇跡的なほど自然の宝庫である高尾山の緑と山肌を削り、更にはそのおなかに穴を開け、
わざわざ豊かな自然を破壊しようとすることは、いかなる理由をもってしても、
正当化されるはずのない、血迷った行為としか思えません。

国の中心で働いてくださっている皆さんも、きっとご自分のお仕事に誇りを持って、
国が決めた事業をすみやかに遂行することに力を注いでおられるのだと思いますが、
国が決めたことは、人が決めたことであって、
ご存知のとおり、人はときに、判断を誤ることがあります。
任務に夢中になるあまり、事態を平らかに俯瞰してみることが難しいのでしょうが、
高尾山に穴を開けて道路を通すという事業こそ、まさにそのひとつではないでしょうか。

たくさんのお金儲けが叶っても、高尾山をはじめとした自然の恩恵にあずからなければ、この地球上で生きていくことはできません。
自分以外の人々、自分以降の未来を担う世代に、
今自分たちが恵まれているものをいかに残して受け渡し、シェアしていくかを考えることが、
目下のお金儲けよりもよほど豊かな行いだと思いますが、
具体的に大きな利益を目の前にしてしまうと、なかなか冷静で公正な判断はできないのかもしれません。

ですが、失って初めて、それがいかに大切なものであったかを痛感することが多いなか、
高尾山に関しては幸い、その危機に現時点ですでに気づき、必死で警鐘を鳴らしてくれている人たちが、
ここにたくさん集っています。
自然の絶妙なバランスは、人為的に作ろうと思っても作れないばかりか、
壊してしまった自然を人の手で元に戻そうと思っても戻らないほど、精巧で繊細なものであり、
ましてや、フランスの権威あるガイドブック、"MICHELIN Voyager Pratique Japon"で、
「大都市付近にこれほど自然豊かな山が存在していることはパリでは信じがたい」と高く評価され、
京都、富士山、厳島神社などと並んで”三ツ星”に認定されたほどの高尾山が、
どれほど豊かな恵みを私たちにもたらしてくれていることか。

そんな高尾山に、大きな犠牲を払わせての強引すぎる道路建設に伴い、一時的に一部の方々に大きな利益が払われるのでしょうが、
いずれは私たち人間の生活や命までをも脅かすほどのきわめて大きな犠牲を払わせる可能性をはらんでいることも危惧されています。

そして、高尾山は長らく、神様のいらっしゃる霊山として、たくさんの人々が心を寄せ、崇めてきた山です。
私も確かに、あたたかく心強く守っていただいたご恩があります。
神様を信じる信じないは人によりますが、高尾山に連綿と人々の強い思いが集ってきただけでも、
単なる場所とはやはり違うはずです。

私は、自分以外の人様も、神様と同じくらい大切な存在だと思っています。
いま、こうして生きている世界で、67億もの人々が、
それぞれに、それぞれの場所で、それぞれの役割をもって、それぞれの人生を生きてくれているおかげで、
自分の人生も絶妙なバランスのなかで送れているのだと思うと、
まさに神様は、人の中にあるのではないかと、感謝の気持ちが自ずとわいてくる次第です。
神様を信じない方のために、仮に、神様はさておいたとしても、
高尾山に穴を開けることは、時を越えてたくさんの人々の気持ちを踏みにじる行為なのだと思います。

そんな失礼なこと、そして、少しでも守っていかなければいけない大切な自然をわがもの顔で破壊する行為を、
私は、見過ごすことができないのです。

シカラムータ・ジンタらムータ こぐれみわぞう(チンドン太鼓奏者)

[link:136] 2008/03/13(thu) 16:02